KURAND MAGAZINE
米を噛んだら酒ができた。酒の起源「口噛み酒」とは一体?

お酒の知識

3/30/2021

米を噛んだら酒ができた。酒の起源「口噛み酒」とは一体?

酵母の力でアルコール発酵が行われることによって生まれるお酒。

今では技術も発達し、理想の味わいや個性的な原料で造り手が酒造りを行っています。

しかし、現代のような技術が発展していない時代にもお酒がありました。昔の人たちは、どのようにしてお酒を造っていたのでしょうか。

実は、人の口内の微生物を使用して発酵させていたのです。

これを「口噛み酒」と言います。映画などでその名前を知っている方も多いかもしれません。

今回はそんな古代の酒造り「口噛み酒」に関して説明していきます。

 

「口噛み酒」の起源

古代の日本や台湾では、米などの穀物や木の実などを口に入れて噛み、それを吐き出して溜めたものを放置して酒を造っていました。

これを「口噛み酒」と呼び、古代の神事の際に造られていたと言われています。

簡単に仕組みを説明すると、デンプンを持つ食物を口に入れて噛むことで、唾液中のアミラーゼがデンプンを糖化させます。

それを吐き出して溜めておくと、野生酵母が糖を発酵してアルコールを生成して酒が出来上がるということです。

口噛み酒の起源や発祥地は不明ですが、穀物以外のデンプンを含んだ植物を食べていた東南アジアから南太平洋域が有力とされており、これらの文化が伝わっていく過程で原料を変えてそれぞれの地域に根付いていったのではないかと言われています。

ちなみに日本列島で口噛み酒が造られていたのは、縄文時代後期以降であると考えられていますが、現在の日本酒との歴史的な繋がりは見られないそうです。

 

実際に「口噛み酒」は造れるのか

米を噛んで吐き出し、保存するだけという仕組みから考えると、誰でも簡単に造ることができそうです。

ただし私たちの口の中には非常に多くの雑菌が含まれているため、発酵の過程で雑菌が繁殖し腐臭がすることも。

個人で口噛み酒を造って飲むのは避けた方が無難と言えますね。

ちなみに、酒税法上、アルコール度数が1度以上の飲料は「酒類」に分類されるので、許可を受けずに酒類を製造すると、酒税法違反になりますので、併せてご注意ください。

 

「醸す」の起源は「噛む」?

酒造りを表現する「醸(かも)す」という言葉ですが、実は口噛み酒の「噛(か)む」が語源であるという説があります。

酒造りに関連する言葉で音も似ていることから、「噛む」が「醸す」に変わっていくということはありえそうですね。

他に、農業博士の住江金之の著書「酒」によると「醸す」は「かびす」から転じたものであると分析されているそうです。

 

以上、口噛み酒を解説しましたが、いかがでしたか。

昔の人が知恵を使ってお酒を造っていたというのは非常に興味深く、うまく発酵することができた口噛み酒はどのような味わいなのか、気になります。

このように、お酒の歴史も遡ってみると様々な発見があります。

晩酌のお供に気になることを調べて知識を深めてくことで、より一層豊かなお酒ライフを過ごせるかもしれません。